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2009年12月25日 (金)

サンタが高校へやってきた 第7話

第7話「先回り」

 

 

 クリスマス・イブ。街は朝からクリスマスソングで賑やかな雰囲気となっていた。私が登校する時には、すでにコンビニやファストフード店の人はサンタの帽子をかぶって働いていて、そういうのを見ると、いつも女子グループで行動している私でも、彼氏がほしいなあ、とか考えてしまう。なのに今日の予定はおかしな事になってしまっている。というか私が自分で決めたのだけど。

 昨日、例のビデオカメラを平井川くんと一緒にハンバーガー屋で再生していた。体育館裏を2時間半以上も撮り続けたカメラには、最初は何も映っていないかと思っていた。

 2時間12分を少し経過したところで、女子バスケ部が練習を終えて、カメラの前をみんなで通過する場面があったのだけど、そこに不思議な現象があったんだ。

 みんながこちらを一度は見てカメラの前を通過していくんだ。

 バレたと思った。あそこにビデオカメラが隠して置いてあるのがバレたのかと思い、冷や汗が背中をつたった。でもよく観察すると、みんなの視線はカメラ直視じゃあなくて、カメラより少し上の方に向かれていた。

 カメラより上には何も無い。と、いう事は、カメラより上であり、もっと後方に、みんなが視線を向ける様な何かがあるという事なんだ。

 でもそれは茶色の獣だとかドレスの女性だとかの不気味な事柄じゃあないらしい。みんなチラッとそちらに目をやっているだけで、怖がっている様子はなかった。

 みんなが見る方角に何があるのか?校内の位置関係がイマイチ思いだせなかったので、今日、登校したら最初に体育館裏へ行ってみようと思っていた。平井川くんも誘ってみたけど「朝は眠いから行動したくない」という理由で断られた。適当な男だ。

 

 

 クリスマスイヴは、明日が誕生日な私にとっては微妙な日だ。今はまだティーンズだからいいとしても、20代後半になったらきっと微妙な気分の日になる。年を取る前日という事なんだから。

 そんな日に私は登校して教室には向かわずに体育館裏へと歩いて行った。ビデオカメラを隠した雑草だらけの花壇のところまで来ると、女子バスケ部のみんながやった様に視線を花壇の方向に向けて、少し上の方を見た。

 そこには四階建ての校舎がある。一階は職員室。二階から四階はそれぞれの教室っぽい。教室の外側にはベランダがついているのだけど、そこには変わったものは無い。

「みんな、何を見てたのかなあ・・・」

 気になる。一度気になった事は徹底的に調べるのが私だ。こうなったら女子バスケ部のマキちゃんに聞きに行こう。そう思った時、ある部屋が私の目に飛び込んできた。

 二階のハジの教室。あそこだけ窓の作りが違う。他の教室よりも立派だ。あの部屋は何だっけ・・・。そう考えてハッとした。

「視聴覚室だ・・・」

私はすぐに駆け足でマキちゃんのいるクラスへと向かった。昨日、何で視聴覚室の方を見たのかを聞くために。

 

 

「視聴覚室?」

 私がマキちゃんに「昨日の夜、部活の帰りに視聴覚室で何かやってるの見なかった?」と聞くと、マキちゃんは自分の席に座ったまま天井を見上げて考え込んだ。

「ああ、サンタさんだよ」

「サンタさん?」

「うん。視聴覚室だけ電気が点いててさ。なんか、きゃっきゃと騒いでる声が聞こえたから見たら窓際をサンタさんが歩いてた。なんだろね、あれ」

「そうかあ・・・、ありがと」

 私がお礼を言うとマキちゃんは「それだけ?」と言うので、私は頷いて自分の教室へと向かった。

「変なコ」

 

 

 視聴覚室でクリスマスパーティーでもやっていたのだろうか。サンタの格好して大騒ぎするなんてそれしか無いと思うんだけど、クリスマスは明日なんだけどなあ。大体、茶色の獣とかドレスの女性とかは何だ。全く関係無い話なのかなあ。

 授業中、色々と考え込んでいたらあっという間に一日が過ぎた。でもノートはしっかりととってある。こんな事で成績が下がってしまってはいけない。総合成績は学年トップ20位内くらいにはいないとダメだと思うから。まあ別に順位発表なんてしない学校だけれど。

 全部の授業を終えると、私はまた平井川くんの教室へ行った。平井川くんは友達と一緒に帰ろうとしていたけれど呼びとめた。

「平井川くん、今日ちょっとだけ時間ある?」

 すると平井川くんの友達が「うわ、平井川・・・いいなあ、イブにこんなかわいいコに呼び止められて・・・、オレ、邪魔っぽいから先帰るよ」と言って走って行った。

「あ、オイ!待てって!違うって!!」

 確かにあの友達さんは感違いしてるみたいだ。でも一ついい事を言ってくれた。かわいいコって言ってくれた。いつも変わり者って言われる私としては嬉しい。

「おい優衣!お前のせいであいつ先に帰っちゃったじゃねーかよ!」

 怒る平井川くんに私は言うのだ。

「それよりさ、もう一度だけ視聴覚室に行くのに付き合ってよ。ちゃんとマキちゃんと遊びに行く話、つけるから。お願い」

 私が両手を合わせてそう言うと、平井川くんは「お、おう」と言って頷いてくれた。うん、単純で頼りに出来るね。

 

 

 職員室でカギを借り、視聴覚室に入ると、いきなり違和感が私を襲った。

「何も無い・・・」

 こないだ来た時はダンボール箱に綺麗なスズランテープやらクリスマス装飾品が入っていたのだけど、今日はそのダンボールごと無くなっていた。それだけじゃあ無い。なんか部屋全体が綺麗すぎる。掃除したみたいだ。

「どういう事だろう」

 私が呟くと、平井川くんはそっけない態度で言った。

「どうって、パーティーが終わったかなんかで全部片付けたんだろ」

 確かにそれで筋は通るんだけど、どうにも釈然としないんだよなあ。だってクリスマスは明日なのに。やるならせめて今日か明日でしょ。

「なんか・・・先回りされて証拠を消されてる感じだよねえ」

 そう言うと平井川くんは「アホか!」と言って辺りをきょろきょろした。

 これ以上ここで何かを探そうとしても何もわからなそうだ。私達は視聴覚室を出て、そこで解散した。

 

 

 家路を歩きながら、私は考える。

 本当に先回りされて証拠品を片付けられちゃったとしたら、それはどういう事なんだろうかと。それはつまり私と平井川くんが調べてるって行動がバレてるって事にならないだろうか?

 でもそれはおかしい。ビデオカメラを仕掛けたのは私と平井川くん以外は誰も知らないはずだし、誰かがビデオカメラに気づいてた様子は映ってなかった。あの映像から視聴覚室へ辿り着けるのは私か平井川くん以外にはいないはずだ。あの前に視聴覚室を調べた事があるからこそ、みんなの視線が視聴覚室だと気づけたのだから。

「と、いう事は・・・?もしかして・・・」

 思わず私は一人で声に出してしまっていた。

 視聴覚室で何をする気だったのかはわからないし、茶色の獣とかと関係してる事なのかもわからないけど、誰かが何かを秘密で計画していて、それを調べる私を警戒しだして・・・、もしかして・・・?

「平井川くんが??」

 

 

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