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2010年9月 2日 (木)

空の下で-熱(8) 北の大地・札幌

やって来ました!札幌!

味噌ラーメン、北海道牛乳使ったスイーツ!この二つは絶対に食べたい!

味噌ラーメン、北海道牛乳使ったスイーツ!この二つは絶対に食べたい!

思わず二回も言っちゃうくらい今回の旅行で目当てにしていたんだよね。味噌ラーメン大好きなんだもん。

ちなみに甘い物は全般的に好きなんだ。特にアイス系が好きで、唯一ダメなのは・・・無いかな?

 

 

北海道修学旅行の三日目だ。今日は富良野を出発して、札幌近くの白いお土産パークというトコに到着したところだ。

宮咲さんが今日も軽快かつかわいい口調で「いってらっしゃい」と言うのを聞きながら一行はパークへと降り立った。

ここで見るのは工場見学だ。全国的に売れているチョコレート菓子の制作過程を見学するという女子や僕の様なスイーツ大好き男子にはたまらないコースだ。

「英太、お前スイーツなんか好きなのかよ。草食系だな。ガッカリだよ」

一緒に見学するのはこの旅行ではいつも同じサトルと時任と剛塚で、サトルはいきなり僕をバカにしてきたという訳だ。

「なんでだよ。別に甘いの好きでもいいでしょ。草食系って言われるのは体育部としては嫌だけど」

「そうだよ。体育部なんだからさ。もっと肉とか言えよ」

サトルは何故だか力説する。

そんなサトルの言葉はあまり聞かずに、僕は制作過程を熱心に見て回った。

勢いそのまま、ここで作られているチョコレート菓子を買いすぎて、バスに戻る時やたらと重い目に遭った。

 

 

再びバスに乗り、走りだしたところで担任の栃木先生が車内マイクを持った。

「えー、じゃあお知らせだ」

車内からは「なんだよ宮咲さんの声じゃないのかよー」というボヤキが聞こえる。

「次の札幌は一時に着いて午後六時までの自由行動となる。ただし夕食は宿泊先のホテルで食べる事になっているから昼食は食べても夕食は食べない事。それと渡してあるパンフレットに乗ってるエリアからは外に出ない様に。集合は午後六時に北海道庁旧本庁舎だ」

その後も栃木先生は何やら説明を続けたけど、僕はいよいよ緊張してきていて話は聞いてなかった。

昨日の夜、くるみからメールが届いたのは八時くらいだった。

『明日、こっそりと札幌を抜け出そうよ』

なんという大胆な事を言うコだろう。不良じゃあるまいし。

なんて思ったけれど、くるみって意外と大胆な行動をするのはよく知っている。行動力があるというか。

一年生の時には二人で学校近くのカフェの裏に、雪沢先輩の密会を「盗み見」しに行った事あるし、二年生の時には部活から逃げた僕を追って山梨県まで行こうと言いだしたくらいだ。

そして今回は自由行動の範囲である札幌市街を抜けだそうと言うのである。

不安とワクワク感でいっぱいになった気持ちを抑えつつ、僕はバスを降りた。

「じゃあ僕は一緒に行動するヤツがいるから・・・」

今までずっと一緒に行動していたサトルと時任と剛塚に向かってそう言うと、サトルが「うお!」という低い声を出した。

「お前、まさか・・・」

「くるみちゃん??」

オタクの時任にちゃん着けされるのはちょっとキモイけど「まあ、そう」と答える。

するとサトルと時任は「うおーー!」とか「マジかー!」とか叫んだ。

「自由行動、夜だったら良かったのにな!」

サトルがいやらしい笑みを浮かべる。

と思ったらいきなり真顔になった。

「英太、頑張れよ」

時任も「悔しいけど応援してる」と言い、剛塚は「大丈夫だろ」と言った。

「何とか・・・してくる」

そう言った時、僕はもう心の中では告白すると決めていた。

なんで修学旅行中に告白するヤツが多いのか?そんな事で成功率が上がるのか?そんな事は知らない。でもやっぱり知らない土地にいるという高揚感がそうさせるのかもしれない。

 

 

とはいえ・・・。

くるみと落ち合うのは昼食後という約束になっていた。くるみは田中ちゃんとスープカレーを食べる予定があるのだという。

そこで僕は仕方なく牧野と日比谷との三人で味噌ラーメン屋に入っていた。

そのお店は修学旅行前から僕が目を着けていたお店で、かなりの人気店という事で今日も並んでいたが、回転率がいいのかすぐに座る事が出来た。

「うわーうまい!スッゲスッゲ!!」

運ばれてきた味噌ラーメンは見た目からして美味しそうな色をしていて、見た瞬間から日比谷は大騒ぎだ。

「ぐおー!!うまし!!」

牧野は食べながら叫ぶからマナー悪し。

しかし本当に美味しい店だった。毎日通いたくなる様な味だ。満足以外、何の言葉も出ない。

「しかし英太・・・」

「ん?」

「コクる前にラーメンかよ・・・」

店を出たところで牧野が呆れた声を出した。

「ちゃんと歯を磨いてから行けよ」

「別にいいじゃん」

「だってお前・・・もし、その、なんだ?うまく行ったとして。その、チューとか・・・あ、いや」

言っていて恥ずかしいなら言わないでほしい。ただでさえ緊張しているんだから。

「まあ何だ」

ゴホンと咳払いをして牧野は真顔になった。さっきのサトルみたいだ。

「長年、英太とくるみを見てきた俺としては、うまくいってほしいよ。まあ俺はもう随分前に謎は解けちゃっているからな」

「謎?」

「そう。英太が山梨に逃亡してさ、帰ってきた時に解けた謎」

そういえばあの時、牧野はそんな事を言っていた様な記憶がある。でもあれから約一年だ。そんな昔の話が一体何だというのか。

「行って来い。出来る事ならいい結果を待ってる」

「スッゲ・・・、なんか青春みてーだ」

日比谷は言葉はふざけてるけど笑ってはいなかった。

「うん、頑張ってみる」

そう言って僕は牧野と日比谷と別れた。

心臓は高鳴っていた。まるで5000mの試合の直後みたいに。

 

 

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